車両のOBDカプラからCAN情報を読み込んで車両情報を取得できるようになりました。
せっかく見れるようになった情報を活かすために今回は車両情報をもとに燃費運転について考察してみたいと思います。
↓(過去記事)ラズパイを使ってCANの読み出し
注意点ですがこの記事の内容はGE8 FITについての情報となります。
メーカや車種によって車両の制御が異なる可能性があるため、全部の車に適しているわけではないことをご留意お願いいたします。
ゆっくりアクセルが燃費にいいわけではない?
よく?燃費をよくなる走り方として急発進はせずにゆっくりとアクセルを踏んでスタートしましょうという紹介があったりします。ゆっくりアクセルが有効な場面というのは限られており、下記のような場面で有効だと紹介されています。
交通状況に左右されるので、お役所が推奨している「ふんわりアクセル」も、有効な環境と無効な環境が存在します。有効な環境のほうがレアなのですが、(1)信号が細かく設置されている、(2)後続車がいない、という状況です。
(素早く加速したほうが効率がいい? ふんわりアクセルがエコじゃない現実世界より引用)
ゆっくりアクセルより一気に加速した方がいい理由としては以下のものが挙げられています。
クルマがほぼ一定の速度で走っているときには、燃料はあまり消費しません。
燃料をたくさん消費するのは、あくまでも発進から一定の速度になるまでの間です。
アクセルを少なめに踏み込んで加速をすれば、確かにエンジンに流れ込む燃料は少なくなりますが、その代わり一定速度になるまでの時間がかかることになります。
逆に、アクセルを多めに開けた場合には、たくさんの燃料がエンジンに流れ込むことになりますが、一定速度に達するまでの時間は短くて済みます。
アクセルの開度に応じてエンジンに流れ込むガソリンの量と、一定速度に達するまでにかかる時間をかけ合わせることで、実際に消費されるガソリンの量が決まることになります。
そういったことを冷静に考えてみた場合、発進時はアクセルをあまり開けないでゆっくりと加速をした方が、低燃費になると単純に主張するのは、あまりにも乱暴ではないかと思います。
(車はゆっくり発進したほうが低燃費なんて真っ赤なウソかも?より引用)
簡単に言うと車は一定速度で走行しているときは燃料消費が少ないから、早く一定速度で走行できるようになるように一気に加速した方がいいという理論です。
ゆっくり加速より一気に加速した方がいいという記事を何個か見ましたが、データをもとにどちらがいいかを述べている記事が見当たらなかったため、今回は車両データをもとに定量的にどちらがいいかを考察したいと思います
実際に車両情報からどちらがいいかを考察してみる
測定条件
前置きが長くなりましたがゆっくりアクセルを踏んだ場合と一気にアクセルを踏んだ場合でどちらが燃費が良くなるかを考察していきます。
試験条件を以下の通りです。
・車両:GE8 FIT
・測定方法:OBDカプラ経由で車両からCANで燃料噴出量を読み出し、ゆっくり加速、一気に加速どちらがいいかを考察
・測定条件:(なるべく平坦な道で)ゆっくり加速、一気に加速どちらも目標速度は 60km/hとし、ゆっくり加速はアクセル開度を徐々に上げていく(最大20 %程度)、一気に加速はアクセル開度を40%程度まで踏んで加速します。
・判定方法:該当区間の67秒間の走行データを読み取り、どちらの燃費がいいかを比較します。(67秒間という数字に特に意味は無いです。取得したデータの都合で67秒間としています。)
37秒かけて60 km/hまで加速した場合のデータ
ゆっくりアクセルとして37秒間かけて60km/hまで加速した場合のデータを見てみます。アクセル開度としては最大18 %程度です。
この区間の燃料消費量は46.57182 mlで移動距離は740 mです。また、この区間の燃費としては15.55 km/l となりました。
18秒かけて60 km/hまで加速した場合のデータ
急加速した場合のデータとして18秒間かけて60km/hまで加速した場合のデータを見てみます。アクセル開度としては最大43 %程度です。
この区間の燃料消費量は45.57176 mlで移動距離は800 mです。時間としてはゆっくり加速と同様の67秒間のデータとなってます。また、この区間の燃費としては17.708 km/l 、一秒間あたりの燃料消費量は0.674 ml/s となりました。
ゆっくり加速のデータと比較すると急加速した方が燃費がいいことが分かりました。
この記事のまとめに表にしてまとめますので、そちらも参照お願いします。
60km定常走行時のデータを見てみる
ゆっくり加速した場合と急加速した場合のデータを確認したので、最後に60 km/hで走行した場合に燃費がどうなるか見ていきます。
この区間の燃料消費量は46.91 mlで移動距離は1070 mです。この区間の燃費としては22.805 km/l となります。
前評判どおり、定常状態の走行が一番燃費よくなりました。
いかに早く定常状態の走行にもっていけるかが大事になりそうです。
アクセルオフをするとフューエルカットが働き燃費に有利
恐らく大半の車にはフューエルカット機能というものがあります。
これは特定の条件下で燃料の噴出を止めて、燃費向上につながるというものです。
下記サイトのCANの一覧を見ていたらフューエルカット(燃料カット)のフラグがあったのでどんな条件でこのフラグが立つのかを確認しました。
(フューエルカットの考えはメーカーや車種によって異なるかもしれませんので、今回のデータはあくまで参考です.)
測定したデータの中でフューエルカットフラグが働いている区間を拡大した図を以下に示します。
この図を見るとアクセルをオフにした瞬間にフューエルカットフラグがONになって燃料の噴出が停止しています。そして、車速がだいたい10 km/hを下回ったらフューエルカットフラグがOFFになって再度燃料噴射が再開されてそうです。おそらくですが、10km/h以下をアイドリング状態と判定しているのではないかと思います。(フューエルカット中の最後の方の燃料噴出量が上昇してますが、データが補間されて上昇しているように見えるだけです。)
昔フューエルカットをONにするにはギアを下げてエンジンブレーキを強力に利かせるとONになるという風に聞いたことがあったのですが、このデータを見るとわざわざエンジンブレーキを強く利かせる必要は無くアクセルオフで大丈夫そうですね。
(最初にも書きましたが、メーカーや車種によってはエンジン回転数を参照してフューエルカットをしているかもしれません。)
まとめ
今回ゆっくり加速した場合と急加速した場合でどちらが燃費にいいかを比較しました。
結果として急加速した方が燃費としてはいい結果を得ることができました。(ただし、ある程度加速区間を得ることができる場合です。都心のようなストップアンドゴーが多い場所では異なる結果となると思います。)
理由としては定常走行(60km/hでの走行)が一番燃費によく、急加速した方が定常走行に早く持っていくことができるからだと思います。
| 移動距離(m) | 燃料消費量(ml) | 燃費(km/h) |
ゆっくり加速 | 740 | 46.57182 | 15.55 |
急加速 | 800 | 45.57176 | 17.708 |
60km/h定常走行 | 1070 | 46.918 | 22.805 |
また、燃費運転をする際は早めのアクセルオフをすることでフューエルカットがONになり、燃費的に有利になることが分かりました。
以上をまとめると燃費運転をする際は下記2つを意識した方がいいことになります。
- 停止後の加速はなるべくアクセルを踏んで早く定常状態にして、定常状態になったらアクセルを一定にする
- 停止時は早めにアクセルオフしてフューエルカットを使って燃料の消費を抑える。
今後の課題としては今回はN数が1なので、N増しして本当に急加速が燃費にいいかを確認していきたいです。あと、なぜか燃料噴出のデータの分解能が低い気がするため、原因を解析していきたいと思います。
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